魔人と鬼人、巨大な黒い胃袋から僕まで/秋也
黒い魔人が来て
いつか僕を喰ってしまうなら
僕はそれまで何をすればいいんだろう
僕はどこまで足掻けばいいんだろう
お母さん
食べられてしまうなら
なんで僕を産んだのだろう
寂しさと恐ろしさにかまけて
魔人が親指と人さし指で摘まむなら
机の下に逃げこんで
僕は彼の黒い薬指を口に放りこまれるまで凝視して
どこまでも果てしなく歩いていた
魔人も必死で生きていることを実感してやる
お父さん
そうだよね、そうなんでしょう
あなただけが
あなただけが一生懸命なんじゃない
そうかもしれない
まだまだ未熟だけど言う通りになるかもしれない
でも、お母さんあなたのこと愛している
だって大好きなんだもん
それより大切なことってあるの
たまに家に帰ってきて
お茶でも飲んでいきなさい
その日がくるまで
魔人が狂うまで
お母さん守るよ
退廃
魔人
廃人
闊歩
討ちして
仏
座作
巨大な僕が生きている
赤い鬼人に喰われるまで
果して貞契
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