あをの過程さんの時間論−「存在の彼方へ」を読んでみる12/もぐもぐ
 
旅を経る中で、様々な可能性を否定し、或いは否定されていく中で、一本の道が見出されていく。そして最後に、「これが私の目的だったのだ」というものが、はっきりとする。

可能性というものを認めながら、それが個人の完全な自由になるわけでもなく、可能性は、それが現実の人生経験(可能性の否定)の中から見出されていく「目的」に叶っている場合に、初めて実現される。
これは、文学などでかなりよく見受けられるテーマであろう。自分のすべきことが何なのか、経験し、否定を重ねるなかで、最後にようやく見出していく。所謂ビルドゥングスロマンである。やや理念化・パターン化されやすい嫌いはあるが、人生の真理の一面を鋭く突いた
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