さびしさを吐く/かんな
めるただの女に
あなたはぬくもりという
とめどない愛撫をくり返す
だいじょうぶ
と言って髪を撫でる
さびしさを吐く
喘いではさびしさを、吐く
あなたというぬくもりが
やせ細ったからだの
その中を突き抜けるとき
女は泣いて
ただ泣いて背中に爪を立てる
くり返しては
さびしさの、跡を残す
背中を抱きしめると
だいじょうぶだよ
と言ってまたあなたは苦笑い
まぶたに軽く口づける
ぽんぽんと
頭を撫でられると、ただの女は
ほろりとほどけて
ほろりと、
ひとりのわたしになって
また泣いて溶け出してしまう
窓の外にはちらり、
ちらりと雪が落ちていくの
[次のページ]
戻る 編 削 Point(31)