それでも世界は勝手に回るよ/猫のひたい撫でるたま子
誰かの面影を追いかけて齧ってみても、口から出したらカラッポだった
世界の中心は止まっているんだ
ニ度とそこからはみ出さない
気をつけて歩いていくんだ
薄氷の上を、裸足でもって
走ったら駄目、止まっても駄目
堕ちたらまたあの場所からやり直しだよ
楽勝 楽勝
破られた紙を、白紙ではなくして
ぱらぱらにちぎってベランダから撒いたんだ
あんたの上に降り注ぎますようにと、願いを込めて
レコードをかけた、日々がはいったやつ
そこにはヒビ割れていて聴こえてこない
耳が壊される季節だから、余計に喋ろうよ
なんでもない、つまらない会話を、思い出なんかじゃなくってさ
いなくなったのは誰だ、穴を作ったのは誰なんだ
もう見えないから聴こえないよ
あのメロディーを忘れさせて、あの顔を泣き顔に変えて
レコードの傷を塗りなおして、耳を貸して、ささやくから
誰のためでもない言葉を 変えられない世界を
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