真夜中に詩は生まれる/
haniwa
不穏な放送が流れる住宅街で
誰もいない玄関にチャイムが鳴り響く
家路を急ぐ少年は
ふらりと違う道を行く
小窓から香るバスクリンのにおい
明日が来なければいいと
焼酎の瓶を開ける大人たち
からっぽだったぼくらのあいだに
やがて育った詩は歩く
そしてぼくらは朝をむかえて
詩の気配など忘れてしまう
日の光に照らされて
そこには生物だけがいる
もう詩のことなど忘れてしまう
つぎの夜がおとずれても
もうぼくらの間に詩はやってこない
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