喪カデンツ/靜ト
期待して待っていた蕾はふくれて
うすい蚊が溢れ出した
すぐさま片手におととし越してった隣人の抜け殻を握りしめて
ドアをすり抜ける。
2対のスフィンクスが
下卑たジョークで笑い転げている
隣人の抜け殻はさわやかな笑顔だ。
受付では女の代わりにサワークリームが
父親の声で
「老婆、老婆」
と呻いている。
ここじゃない。ここじゃないのだ。
チケットをちぎると血が滴るのは当然だ。
2対のスフィンクスはまだ笑い転げている
泣いているのかもしれない。
今度こそ膨張した体細胞は臨界を迎え
t=eにはプラナリアとなり棘を育てる
窓口ではオイスターソースが
母親の
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