最悪なものばかり選んでいく/k o u j i * i k e n a g a
(失うものすら持っていなかった女の子たちへ)
ゆびのすき間から桃の果肉がぶちゅる、
って逃げて行くというよりも追い出すような
だからもう女の子たちはソフトクリームを
溶けるまでしっかりと握って、
でも決して食べてはいけない
指にぽたっ、ぽたっ、って
でもゆびのすき間からこぼれ落ちる桃を
女の子たちのソフトクリームに
のせて食べたらきっと
おいしいだろうな
それはいいな
もう一歩も動けない状況で
それでも地面が運んで行ってくれる
南へ
だから桃を汚くたらしたまま
女の子たちはまた取り残され
ソフトクリームはもうほとんど
溶けてしまって
地面にも吸い込まれず
恥ずかしそうにしている
南へ向かいながら、それを眺め
いけない気持ちになる
いつもこの繰り返しで、
桃は腐臭をはなつ
成熟から遠い場所で足元を見つめて
動けなかった女の子たちは悲しいな、
と考えるのが精一杯です
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