針と糸/ヨルノテガム
 
っていった
「傷」のようなものが残る

その人を想うとき
私は手を合わせたり手を合わさなかったりしながら
祈る対象として

点になった街の灯を無言で見守る

彼女の形骸は
幽玄であり
私たちはその幽玄加減しか愛していなかった
アニメのような人型が 夜に動き出せばいい
私は人の変化する変わり目の穴に落ちては遊び這い上がり
また落ちては遊び這い上がりして
この景色に手を振り上げている
狂気の挙手のようだ

情報の海の女神には何処かの芸術の森の中で
眠りついてほしいと願うのは 時代を知った小人たちの
逃避と再生への耕作地から芽生えた
僅かな霊感の指向であった













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