月蝕華葬/紫音
 
曇り翳り 月隠れ
両の手を高く掲げ仰ぎ見る
しんとした静けさの虚ろに
刻みゆく水時計
鳩羽色に染まりし夢現は
深く 深く 沈みゆき
刻まれるリズムが ピヤノの黒鍵へと重ねられ
在りし日の無邪気をなぞる
星無き夜
孕まれた狂おしさ
少女の袂は 風に満ち
魂は物言わず歩を進める
血鉄の薫りの漂うことなき
無垢への礼賛
誘われし 光無き舞い調
遠く 遠く 果つることなく
少女は永劫へと葬られる
花枯れる事無き 永久の夢
白き透き通りし葦は
焦がれて求め 踊として
明くる事無き 永劫の華

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