傷/石畑由紀子
 
じゃなくて
馬鹿なんだとおもいます

痛みにうずくまる
痛くて
泣く

変わったのは
それらをひとりでできるようになったということ
多くをひとりでできるようになってしまったということ


傷を負うことでしか歩めない道があるなら


氷の風、矢尻を
凛と、頬で
受けとめる


  *


あなたに
傷はありますか
それは私に、
見えますか
見えませんか

知らせたいですか
知られたくないですか

それは本心ですか

ですか


それでいい


私には
見える傷と
見えない傷があります
これからも増えます

その
ほんのすこしを
いつか、

あなたに知らせたい


とおい
あの日の雪が
今も胸にたなびいている


私が
消えてなくなる前に
私に傷を
ください、






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