夏の話。/有邑空玖
 

白雨(ゆうだち)が上がって
青さを取り戻した空には虹が出ている
端から端まで七色な
それはそれは見事な虹だよ


夏の夜は短いって
夜好きな君は嘆いているけど
僕は昼間のほうが好きだな
太陽の光を浴びた君は
白くてしなやかできらきらできれい


いつだって君のことしか考えてないよ
窓を開ける時も
電車に乗る時も
アイスクリームを食べている時も
隣に君がいたらどんなに素晴らしいだろ、って
そればっかり


夏の話をしてよ
あまりに深く青い空の
夏の話を


虹を見に行こうって安っぽい口実で
君と手を繋ぎたいなあ
なんて
莫迦げてる、って
笑っても良いよ
叶わない夢でも
生きていく糧にはなるから
どきどきする心を忘れたくなくて


ねえ、手を繋いでよ
終わらない夏の話をして。



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