いくつもの種類の赤/ホロウ・シカエルボク
 







頸動脈に錆びたナイフ、生を絞めつける死の模倣、こそげとった表層の肉片を、友人たちよ、おまえに分けてやろうか、早い睡魔、求める者の先端すら叶わぬほどに、細胞を覆い隠す睡魔、指先は重く、もうどんな言葉もそこから出てくることはなく…これだけはおまえに届けたかった、これだけはそうしたかったと心から思えるような、そんな何かがここに生まれればどんなにか良かったことだろう…痛みに耐えかねて外した刃は、色褪せたカーペットの隅を形骸化した示唆のように刺した、俺が見ようとしていつも、眼を逸らしていたものに似ていた
17日目の月が執事のような佇まいで空に居て世界を窺っている、蟻のような蠢き
[次のページ]
戻る   Point(1)