生地のはなし/伊月りさ
きみをひきのばして大きな一枚にして体に巻きつけたい、くるまったままで、そうすればどこへ行くにも一緒だ
と
わたしを抱きしめながら言う空想を
わたしは空想をして
よく言われるのは
「頭小さいね」って、なので きっと
ひきのばしたってきみをくるめるかわからないのだけれど
頭蓋骨を砕いていくきみの手のひらのやわらかい部分に
頭蓋骨の破片が刺さっている
皮を突き破っていく、あたたかい水が繋ぎになって
大きな一枚になっていくわたし
首から、肩から、乳房がつぶれて
いく日々に積もっていく
きみをおもう気持ちが
大きくひきのばされていく
わたしがきみにしがみつきたいのだ、か
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)