うつわ うつろい/木立 悟
白へ白へ旅をする
木目の道の途切れるところ
裸足の足指
つまびくことの
終わりとはじまり
小さな柱がいくつかつづき
見えない川を示している
枯れた花が陽を拾う
野は
水紋にゆらぐ
ひとつ鳴るたび
ひとつ軋む
水と砂 水と砂
硝子のような
緑に降る
つらなりゆく背
枝の奥の
鏡へ進む背
くらべるまもなく
変わりゆく背
時が鼓のように在り
誰も鳴らさず鳴っている
造られたものらに目をふせて
渦の道
洞の道を聴いている
歩むもの
つまびくものに
まとわりつく
水と砂 水と砂
錆びた振り子の刻
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