はじめて/霜天
 
染められた自転車を
また真っ白に戻すように
通い慣れた道を塗り直していく
隙間を通すように、深く

はじめておぼえたこと
空のひろがり
見つけたころのこと


遠くへ行ってしまいそうな
繋いだ手はいつか、忘れても
朝は加速して
僕に一日をくれる

空は青くて
青過ぎて
はじめておぼえた
顔を隠した


忘れたころに、また
窓辺にふわりと戻ってくる
繋いでいたものを組み立てると
また、白い自転車になった

はじめておぼえた、こと
振切ること
空のひろがり、その
行方


漕ぐ
風景は加速して
一人ひとりの朝が始まる
はじめての空の、色に似ている
朝の何処かの、誰かから、溢れた


確かに、伝わった
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