ぶどう石拾い(ホーム)/梶谷あや子
 
あなたの肩越しには
そっと燃やされた虫のひとみ
氷点下のやさしい冬の陽
夕闇すきとおる薄紫も
青白いミルクにできた膜が
弟だと教えられたまるい小さな手足さえ
やがてすっかり被い隠してしまうのを
ずっと見つめていたよ

まだ少し
酸っぱい匂いがしていた
私たちの伝わらない葡萄の色
口を閉ざしても
ひとりになんてなれないんだ
った ね、/




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