先生/たちばなまこと
 
な 幾たびも屈折して届く 光の帯たちの
暗がりを知る 重さを知る 柔らかな痛みを知る目の中に
沈んでしまうから 泣いてしまうのでしょうか

環境に足を取られて 向かうことすら出来そうにない
そんなときにはわたしも 泣いてしまうのでした
あなたの教え子たちも 泣くのでしょうね
小さな思想が
土足でなだれ込んでくる世の中に 圧せられて
先生
あなたがそんなにも傷ついて 思想を殺して
背負う子どもたちだから
いつか花をあげたいのです
二十歳の女の子たちを「子どもたち」と呼ぶ 貴婦人先生を
思い出にあたためながら

先生
今日は彼女の記念日です
わたしには先生と呼ばせて
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