あたたかいものを、ひとつ/木屋 亞万
 
人が通れるくらい木がまばらな林では、木の葉が鮮烈な色をしています
目に滲んでくるような赤色や、星のかけらのような黄色のものがあります
二色が混ざりつつあるような葉もあって、死ぬ前の輝きのようなどこか儚げなその色は
命の根幹にある色のように思えます

紅に染まる葉を人は紅葉と呼ぶのだそうです
黄色に染まっていくものは黄葉と呼ばれるそうです
秋に散っていく葉たちが女と男のように思えて
私は落ち葉を拾います、紅と黄を交互に
ちっとも枯れてはいない、死にたての葉を
恋う様に集めていくのです

私はいつも暇ですので、秋に収穫するものもありません
だから毎日まいにち林に赴いては葉を拾
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