TOKYO/
たもつ
触る、とにかく触る
地番のない一点から別の一点へと指を滑らせていく
伝わってくる感触が自分自身のようだ
触る
涙が出てくる
触りたかったのだ
本当に触りたいものはいつも触れないものばかりなのに
そんなこと知っていたはずなのに
TOKYO、TOKYO、何度か呪文のように唱えると
やっと安心することができた
目覚し時計にいたのはセミだったかもしれない
そんなふうに思えて
余計に涙が出てきた
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