ゆうだち(みーこに)/にゃんこちゃん
 
の上

ふところの子犬顔出す月見かな

つなぐ手の微かに応ふ春の夢

翡翠や人の生き方それぞれに

小さき花生けて大暑を迎えゐる

留石の乾ききったる炎暑かな

朝顔に水遣る姫を通り見る

槿木垣より出できたる子犬あり

夏祭り終わりて二人きりの道

恋の字と似ているやふな秋海棠

夕焼けや母の無き子を抱き上げて

恋猫の噂まかれて消えにけり

きっとなる電話待ちをる夜なべかな

秋の灯や恋しい人と違う家

夕暮れに映える横顔大花野

牡丹の帯解くやふに崩れけり

花嫁の離島に渡る小春かな

虫時雨真っ只中に再会す

いま一度振りて風鈴仕舞ひけり

向日葵のいっせいに右向いている

藤棚の下に初恋終わりたる

つばくろの派出所にまた帰り来し

京極に傘買ふ二人月の雨

黒猫を抱いて見ている初蛍



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