スピリチュアライズド/結城 森士
 
そうだ
高いところに行こう
プラットフォームへと続く階段の上から
地面を見下ろしながら
唐突に思った

何故かは分からない ただ
今、どこにも行く宛がない
未来への進路は絶たれたし
故郷に帰りたいとも思わない
過去の記憶の中にも
居場所なんてないのだから



高いところへ行きたい
何故かは分からない
ただ、高いところだけが
唯一の居場所である気がした
そしてゆっくりと階段を下る

電車を待っていると
おばさんが変な顔で私を見ていた
いつの間にか
白線の内側から
一歩はみでていた
ゆっくりと目を閉じる


よく晴れていた
冬だというのに太
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