干潟の風景〜トビハゼの生きざま/草野大悟
 
もう、かれこれ二時間ばかり
ゴカイの長い横っ腹に
食らいついてはいるが
どうしても
飲み込めないでいる

隣の奴は
ゴカイの頭の方に回り込み
うどんでも食うように
つるつると
器用に飲み込んでしまったのに

頑固というか
阿呆というか
隣の奴を真似ればいいものを
まだ
横っ腹に食らいついて
目を白黒させている
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