<SUN KILL MOON>-fine/ブライアン
 
 太陽は月を殺す。早朝、渋谷、センター街。青白い空に太陽は輝く。その光は月を貫く。月は今にも消えてなくなりそうだった。だが、その姿を見るものはいない。歩く人たちは、輝く太陽の光を片手で遮っている。眩しそうな視線。目を細めている。光はビルに反射していた。子供と田舎者ぐらいなのだ、輝く太陽よりも青白い空が気になるのは。きょろきょろと辺りを見回す、指差す。月を。消えてなくなりそうな月を。死んでしまう。太陽に殺される。その光りにっよって、とそう思うのは。
 
大学時代の恩師は言った。何かの作品について書こうとするならば、その作品について何か疑問が生じるはずだ、と。そして、それが書くきっかけとなるのだ
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