『別離』/にゃんこちゃん
 
最後の頃は
ずっと黙って耐えていたんだよね。

そんな
思い出しかなくても
あとになれば
美しいよね。

あなたを泣かせてばかりいたから
あとになれば
思い出は
哀しいよね

今、ここにいてくれれば
こんなにも、むせび泣くことも
なかったのにさ

十三夜の道で
別れた人は
黒い子猫を抱いていた

どこからか見つけてきて
「不吉だよ」って言ったら

「みんなが、そういうから
私が飼ってあげるの」

「わたししかいないんだよ」って


月明かりの下で
優しく振り向いた。

「これからは、あなたの代わりなの」って

瞳を伏せたよね

[次のページ]
戻る   Point(1)