『別離』/にゃんこちゃん
最後の頃は
ずっと黙って耐えていたんだよね。
そんな
思い出しかなくても
あとになれば
美しいよね。
あなたを泣かせてばかりいたから
あとになれば
思い出は
哀しいよね
今、ここにいてくれれば
こんなにも、むせび泣くことも
なかったのにさ
十三夜の道で
別れた人は
黒い子猫を抱いていた
どこからか見つけてきて
「不吉だよ」って言ったら
「みんなが、そういうから
私が飼ってあげるの」
「わたししかいないんだよ」って
月明かりの下で
優しく振り向いた。
「これからは、あなたの代わりなの」って
瞳を伏せたよね
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