甘く温かいミルク/ホロウ・シカエルボク
 
傷めてしまう

本格的な冬が来る
本格的な冬が来るので
僕は
いつでも覚めない眠気が
まぶたにこびりついている気がして

どうでもよくない事まで
(まあ、いいか)と、思ってしまう
住処の一階にある、とある業者の朝は早くて
台車の軋みやトラックのコンテナの開閉音で
薄暗い間から何度も目を覚ましてしまう


君がキッチンを離れるのを待って、僕はコーヒーをいれた

君はミルクを飲みながら、それに気づかないふりをした


夜は魚のようにゆっくりと、お互いの間を泳いで
僕たちの舵はあまりにも心もとない
なにか航路を乱すような
出来事があったわけではなかった
僕は朝届いた新聞を開く、読みたいニュースがないことは分かっていたけれど








沈黙を納得するにはそんなものを読んでいるしかなかった








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