つり銭/リーフレイン
・」
「ありがとうございます。」
「車掌さん、おつりおつり」
出口の方まで先に行ってたかあさんが
「きいちゃん、かあさん一人じゃ降りられそうもないのよ、一緒に降りて家まで連れてってくれる?」と たよりない声。
「え、一人じゃ無理なの?しょうがないなあ・・・・・・・車掌さん、お釣りくださいな。」
お釣りを中々くれない車掌はほほ笑みながら口に人差し指をあて、小さい声で
「お客さんは生きてらっしゃるからここにいらっしゃい。」とささやいた。
不思議に思うまもなく電車がガタンと止まり、母は出口に吸い込まれていく。
車掌さんもほほ笑みながら消えていった。
路面電車も消えてしまった。
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