ひそやかに/
塔野夏子
身のまわりの色彩が不思議と淡くなる夜
胸のうちに浮かぶ
いくつかの
花の名
鍵盤をやわらかに歌わせる指たちの幻
夢のうちを
あるいは予感のうちを
あえかにかすめていった 星のようなもの
(ひろがり残るうつくしい波紋……)
忘れられたまま
しずかに揺れる鞦韆(ぶらんこ)
窓硝子に灯るひとつの詩
遠いひとを 想って居るのです
戻る
編
削
Point
(9)