ひとつ みどり/木立 悟
が重なり
空の手前まで着き
音が燃えては降り
水の底に鳴る
暗闇を
ふたつの暗闇が見つめる
滴と同じ穴の上を
滴は落ちずにすぎてゆく
光は夜の色になり
蛾のようにちぎれ 灯の下を飛ぶ
感じる前に
雨を感じたひとかけらに
遅い曇が映りこむ
何もかもが遠く豊かで
在ることだけが頬のそばにいる
鈴とともに響く鈴
隔たりは無く
隔たりは在る
わずかな周囲の赤を残して
傷は光の点に隠れる
訪れているのか
訪れている
違いはもう
違いではなく
いつわりの鏡の笑みのなかの
ほんとうのみどりを歩みゆく
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