ひとつ みどり/木立 悟
三つの空のある窓に
光の穴があいている
動きつづける点の奥から
はざまの唱が聞こえくる
朝の翳り
夜の白銀
窓しか照らさぬ窓から来るもの
倒れ砕けた木のむこう
ひとり みどりの径をゆくもの
路地を呑む路地
波と浪の音
空を逃れ
雨を昇る羽
静かな線の
からまりの外
見ようとすれば
見えなくはないまぶしさに
光の紋様が並んでゆく
水が糸の時間に沿い
土を削りとってゆく
動かないものほど
動いている
空のすみのこがね
埃の街を見つめまたたき
既に明るく煙るものらを
さらに明るく梳いてゆく
輪が重
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