11月、やつれた馬とはぐれた鳥、初めからそこに居る魚と外側から内側へ帰還する俺/ホロウ・シカエルボク
 


やつれた馬が夕陽の逆光の中、死に場所を探す幻覚、テトラポッドの上に鎮座した唇の歪んだ神は俺の安物の上着に唾を吐いた、あての無い上昇の様な冬の始まりの晴天、粒子である彼らが照らす世界はあまりにも死に絶えていた

轢死体のような自分の感情を抱え込むことを苦しみと思うことももう少なくなって、それを誇ればいいのか恥じればいいのかあとは決めるだけだった、例によって、それを聞かせる相手などどこにも居なかったのだけれど―まあでも、誰が居ようが居るまいが、聞かせるための決意なんかすべて嘘だぜ
海風に乗り損ねて一羽の鳥が大きく群れを外れる、そいつに向かって愛していると叫んだのは決して気まぐれなんかじゃ
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