夜更かし/北斗七星
 



どきどきと
自分にしか解らない
心音を
黒くて肌触りの
ちめたい夜に埋めた


きのうの夜は
何処にいったの


きのうの夜は
何処にある


隣に座っていた人の
ヘッドホンから漏れる音に
少しだけ聴きいると


無くした昨日の夜の夢を見た

ちめたいイスも夜を纏い
星の雫を垂らしていた




どきどきと


夜だけが僕を追い越して
太ももの裏に伝わっていた




夜の終わりに追いついた
朝の従者は
きのうの夜を懐にしまうと

僕にヘッドホン越しに
漏れて忘れた時を聴かせてくれた

夜更かしを纏い
何処にどきどきと
ちめたい感触を心地よくかんじさせながら

背中を見せて歩いていった



歩いていったんだよ







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