眠り姫の冬の朝/緋月 衣瑠香
 
恐怖を感じたから


自分の醜さに泣いた
卑怯な自分に泣いた
あなたを傷つけたことに泣いた

気がつけば
柔らかな布団が体を包みこんでいる朝
近くから聞こえる鳥のさえずり
肌寒い冬の目覚めは私を憂鬱にさせる

あの夜から何百回もの朝を迎えているのに
もう過去のことになりはじめているのに
未だに冬の寒さは心を締め付ける

これ以上自分の汚さを知らないように
ずっと眠っていられたら
なんて考えたこともあった

でも今は違う
この布団と共にさよならを
そして新たに宿ったこの気持ちと向き合う勇気を

さあ 迎え入れよう
あの冷たい雪もあの日の涙も慣れない冬の朝も
暖かな布団から抜け出すのは案外簡単なのかもしれない

きっと今以上のものが見えてくるはずだから
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