そら/HTNYSHR
 
ふるさとはもうぐちゃぐちゃに塗りたぐられた風景画のようになっている。長く真っ直ぐな道が向うの方まで伸びて消えた。その先には山がある。後ろには海がある。すぐそばには川がある。空はだだっ広くて、細かな模様がぎっしりと刻まれている。   
ところ狭しと詰め込まれたふるさとは線を廃して描かれた風景画のよう。どこまでも続くような感覚。未来を描くための媒体。果てしない繰り返し。焦燥と悠然の矛盾が許されている。空は心地のいい気分。
ふるさとは時間の中を行ったり来たりする風景画。後ろの道。目の前の山。遠くの海。川の向こう側。空には雲ひとつ無い。
ふるさとを飾ってみる。光の表現とともに。安らぎ、焦り、迷いとともに。今日と、明日と、全ての昨日とともに。そら一面に。

戻る   Point(2)