悩みの意味が解らない/松本 卓也
何もかも解ったふりをして
相対論をただ受け入れていれば
物分りの良い紳士として評価されることくらい
知らないとでも思っているのだろうか
ただ私が幸せであればいい
ただあなたが幸せであればいい
それは一面の真実を確かに告げているけれど
僕はただ幸せになって欲しい誰かのためであれば
僕自身が不幸であっても構わないと言ってみたいだけ
そんな存在は今 何処にもいないけれども
表面が安定していれば良いだとか
ミクロな幸福観を形作れるのならば
誰だって平等に輝きを讃えることくらい
できるのは知っているけれど
去年まで知らずの内に香った金木犀の香りが
今年は一度も嗅
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