悩みの意味が解らない/松本 卓也
 
何もかも解ったふりをして
相対論をただ受け入れていれば
物分りの良い紳士として評価されることくらい
知らないとでも思っているのだろうか

ただ私が幸せであればいい
ただあなたが幸せであればいい
それは一面の真実を確かに告げているけれど

僕はただ幸せになって欲しい誰かのためであれば
僕自身が不幸であっても構わないと言ってみたいだけ
そんな存在は今 何処にもいないけれども

表面が安定していれば良いだとか
ミクロな幸福観を形作れるのならば
誰だって平等に輝きを讃えることくらい
できるのは知っているけれど

去年まで知らずの内に香った金木犀の香りが
今年は一度も嗅
[次のページ]
戻る   Point(1)