磁石の月/カンチェルスキス
 





 きみとぼくは
 泣きながら
 ダンスを踊り
 磁石の月に
 吸い寄せられる




 空の終わりに
 ぼくの汚れた靴と
 きみの破れた
 ドレスの裾が
 消えて




 街は
 厄介者を追い出したように
 静か
 みな 枕のうえ
 夢の中
 読めない文字を読む




 ぼくときみは
 磁石の月に
 居場所を決めて
 望遠鏡で
 覗かれようが
 もう落ちることのない
 生活を楽しんだ




 月光のした
 小豆色の屋根
 手品師が忘れた
 シルクハットの中で
 小鳩が眠ってる





戻る   Point(6)