蟻/
高橋魚
汗臭い蟻が 判然としない表情を浮かべ西に向かう
疲れているんだ
それは無意識
歩いているようで 実は新幹線に乗っているようなスピードで
毎日を駆けている
降車出来ない新幹線の小窓から
草が知らしめる
これが 歩くってことだと
橙色の鬣(たてがみ)が
一億の孤独と疲労を掻き集め
重たそうな足並みで 次の場所へと向かっていく
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