昨日は孤独な世界?/錯春
。
ぽそ、と微かな音がする。
かつて、ここは天国みたいなお花畑だった。レンゲとたんぽぽとシロツメクサと生命の塊みたいなアブラムシが点在する、ありふれたお花畑。
今は、屠殺された家畜(主に牛)の、鼻輪を廃棄する場所となっている。
(べつに夢見てたわけじゃないよ。ほんとだよ)
彼は自分で自分に言い訳をしながら、その大きな山(または塚)を眺める。
灰色の空とカラフルな鼻輪の山のコントラストが、廃墟の遊園地のようにも思えた。
(人は稀に、自分自身で己の幻想や思い出、観念を廃棄するべく、挑もうとする。それは運命や思い出、トラウマなどがあげられる。大概の人は上手にそれらの廃棄を済ます。廃
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