緩慢する海の響鏡にして/mizu K
 

発泡した軽石は海にぷかぷかと浮かぶので
さしずめそれは人の身体
海は空の鏡と言い得て妙
波長が合えば共鳴してくれるか
海風を真向かいにバグパイプを
水平線まで届けと
音が満ちる
そこまで聞こえているか

レジカウンターが自動化されて
そこだけ潮が引き
あるべきところに人の不在そのことが
こんなにも不安にさせるものかは
けれども緩やかに慣れてしまうだろうて
人と対峙するときの少しだけの覚悟も
もはや

遠吠えることだ
狂う波しぶきに負けぬほど
聞いたものみな布団を頭からかぶり
がたがた震えてかちかち止まらず
涙にじますほどに
遠吠えることだ
耳ふさぐ
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