トビーの旅/ようちゃん
 
黄色の混じった水を
昨日より幾分すくなく
おとといよりずっと少ない
明日はきっともらえない

隣の井戸も干からびそうだ
涙はすでに枯れ果てて
乾いた唇(くち)は語らない

瞳を閉じて、黙したまま、
トビーは大人たちの
冷たい仕打ちにグッと堪える

トビーは神の子、大地の子
彼の瞳は二つの宇宙
けれども彼は忘れてしまった
天に向かって叫ぶことも

夜の闇にコヨーテがないて
トビーは家から放り出された
ホロ布ひとつ身にまとい
トビーは岩場にねぐらを探す

アラベスクの織物の中で
トビーはひと時、横になる

ちりばめられた星たちは
こぼれて今に
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