ぬくめる/かんな
 
ネルを回す
となんら変わりばえのないニュース
とともになんら変わりばえのないわたし
が映りだす

あたたかさを怖れない
それは少しばかり
正しさをはらんでいてそれでいて
やはり間違っているようにもおもう

マグカップに少し残った
もうぬるくなった麦茶を
いっきに流し込むと
生ぬるい事実が喉を通る

わたしはいつのまにか
あたたかいことば
という逃げ道をただ
作っていたのかもしれないけれど
 
毛布から抜け出すと
いつしか肌寒い朝が通り過ぎ
並べたことばたちが
陽の光であたたまりはじめる


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