視線、と誰かが言った/たりぽん(大理 奔)
シャッターが切り取るわけではない
それは露光時間を決めているだけで
まぶたのように拒否するのだ
ファインダーが見つめるのではない
いくつかの屈折率を経て
まなざしの限界を教えてくれるのだ
わたしが指で切り取ろうとすると
背後から目隠しをして
答えが一つしかない質問を
あたりまえのように問いかける
とどまってはいけないと諭されるが
とどまることなど出来はしない
この世の中に
停止しているものなど
見えはしない
ビーグルの寝言のように
わたしは美味しい夢を見る
無数の着信ランプが
低い山の稜線で揺らめきながら
星のように明滅して
みんなつながってるな
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