蚯蚓/
くろね
私は雨に浮かれ
溺れた蚯蚓
今はもう動かない
微かな夢を抱いたまま
甘い波に飲まれて沈む
此の時初めて
手足の無きことを
憾んだかもしれない
抗うためではなく
ただ泳ぎたかった
やがていつかは雲は晴れ
朝陽が私を焼くでしょう
其の時初めて
光の無きことを
憾むのかもしれない
私の生まれた
世界にはなかった
此の雨になら
濡れても好い
そう思った
此の雨になら
呉れても好い
そう思った
私は雨に浮かれ
溺れて蚯蚓
今はもう動かない
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