秋の自殺/
智鶴
には未だ動けない
幻想でもいい
一度だけ真実を夢見させて
濡れた私は絶望を知らない
苦しいくらいに何も知らない
濡れた地面に頬を伏せる
そうして今にも、死んでいく
私はこれから夢を見るから
色も音も無い夢を見るから
きっと帰れない
元より帰るつもりもないのだけれど
日々の脆さにも
美しかった日々にも
怯えることはなくなる
雨が止む頃には
きっと私は死んでいるから
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