ハイツユカリだとか、中町コーポだとか、なんだかそんな感じの名前のついたアパート/リヅ
と出会うのを。だいたいにおいて、物語はそういう場所でしか始まらない。あるいはもう始まっているのかもしれない。言葉では語られないまま。
夜も深まり、空いたボトルが何本か部屋に転がっている。この物語は何も起こらないままもうすぐ終わるけれど、三人の平凡な女の子たちのお喋りはぐんぐん加速していく。まるで泳ぎを止めれば死んでしまう回遊魚のように。何か大事なことを隠すように。笑いの絶えないこの場所には語られない言葉がある。それでも、彼女たちのお喋りは留まるところを知らない。
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