刻まれたものは擦り切れるまでは息遣いで在り続ける/ホロウ・シカエルボク
が振動しながら鳴っていた時代のことを俺は知ってるぜ、大好きなものだって擦り切れていくんだって誰もが知っていた時代のことを、いや、違うんだ、そのこと自体は大して重要なことじゃない、味わおうと思えば今だっていくらでも味わえるものだしね…余談ついでに言わせてもらえばターンテーブルは黄色いヒップ・ホップの遊び道具じゃない、それだけはちょっと気にかけといてくれるかな、それは本当の息遣いを知るための道具なんだ
熱い季節が過ぎてうるさいくらいに道路工事の数が増えた、笑顔を浮かべながら静かに旗を振る交通誘導警備員は―その仕事の成り立ちや意義について、全く疑いを持っていないように見えた、俺もあそこに立ったことがあ
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