雨後と彼女の物語/ススメ
雨上がりの鎖がゆらいでる
虹は公園に突き刺さり
今は残された赤が僕を染めている
踏切が何回鳴っても
影が3倍に伸びても
それでも鎖は揺れて、震えを続け
絡まる水滴は錆色に指を染める
囓ると親指は苦みと鮮鉄の味がした
彼女は昇りきれたのだろうか
遙か丘の煙突
葬煙はたなびくのを止め
炉の火が落ちる
星と共に周囲が冷える
だけど虹は暖かいまま
煙草に火を付け
乾いた鎖を手放し
砂場を蹴り立ち上がる
彼女は
雨が好きだった
虹も好きだった
なら
雨と虹になった彼女のことだから
もう会えないと思い出すたびに
僕の瞳に降りてくる
意地悪な彼女のことだから
僕を泣かせて強くする
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