融解/結城 森士
思い返すと僕は
思春期の日々を過ごした街の中にいるのだ
公園のグラウンドの中央に立ち、辺りの景色を見渡す
まるで水の中のように
空が柔らかく揺らめいて
太陽の細い光の線が散乱する
雑木林の向こうのテニスコートから
ラケットでボールを弾き返す音が聞こえてくる
遠くから
懐かしい声が甦ってくる
子供たちのはしゃぎ声
鉄の金網の向こうから
3人の幼い友人たちが
サッカーボールを片手に
僕の名を呼びながら走ってくる
サッカーボールは宙を舞い
僕の足元に落ちた
一人、二人、
僕はドリブルで交わし
君の目の前に立った
君は懐か
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