生空/葉leaf
空に放った矢が雲を引き剥がしてくる、その時刻の塊。一面に熱い空、概念の残像で傷つく。空に入浴する鳥たちは、空の傷から液体の星々を舐め摂る。雲の角度たちに照らされた矢は、角度の海の寝返りで折れて、鳥の影の柱に吸い付く。
空に放った矢が瞬く間に拡がりもう一枚の空になる、その激しい脱落。旧空と新空の隙間に血があふれ、血の板に描かれた空の地図は頂上だらけだ。雲々が空を食べるという非違によって血の板を厚くし、頂上は拡がって血の板に無数の空を作る。
空に放った矢が落ちてきてもう一枚の地面になる、その鏡面の摑取。空の青さが地面に感染し、地面の潮流が垂直になる。鳥はせっせと雲の実を落とし、雲の実は地下へと発芽する。突風がもう一枚の地面と混ざり合い、空の広さに感染する。
空に放った矢が夜を引き摺り下ろしてくる、その速度の湿り気。鳥々は闇を敷き詰めてその上で眠りを焚く。雲は自らの光を凝縮して星となる。地に刺さった矢は、夜のたった一本の根として、地下に溜まった風景の絞り汁を汲み上げる。
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