休日/ホロウ・シカエルボク
窓際のソファーに腰を下ろした
電柱のてっぺんでカラスが二羽、此方を窺いながら何か深刻な問題について話し合っていた
もしかしたら此処に
何か致命的な通告を届けに来たのかもしれない
あまりに致命的な内容なので躊躇しているのだ、思うにあの二羽のどちらかが
さっき坂道の下ですべてを見ていたのかもしれない
しばらく視線を向けたままでいると
一羽だけが数度頷いて其処から飛び去った
どこかの屋上で羽を休めている長老にお伺いを立てに行ったのかもしれない、残された一羽は
「別に俺だって好きでこんなことをしているわけじゃない」と言いたそうに
視線が合わないようにじりじりと向きを変えた
コーヒーを飲みほすと何もすることがなくなった
カップを流しに置いて
帰ってくるとカラスは居なくなっていた
空っぽの電柱のてっぺんから電話のケーブルを辿ると
そのまま眠ってしまいそうな気がした、背中に置手紙は無く
風に混じって聞こえる最後の言葉も無かった
それが
欲しかったのかどうかなんて考えもしなかった
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