太陽信仰/真鍋 晃弘
広場は
すっかりと
犬たちで
埋めつくされていた
進歩的な犬は
後ろ足で立ち
保守派は葉巻を咥え
その時を待った
犬たちは
太陽信仰の信徒たちで
ピーっと
指笛を鳴らしたり
足をバタつかせて
その時を待った
胸焼けがするねと
誰かが言った
どちらかというと
番犬タイプの
セントバーナードの
彼だ
その前足は
餌を押さえつけておく為だけのものかい?
下品な笑い声で
ブルドックが応じた
本当だね
笑みを浮かべつつ
スピッツが言った
しっ 静かに!
彼が来るよ
柴犬が気っ風の良い
口ぶりで言った
ああ 来るよ
みんな一斉に
息をのんだ
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